「ワインは太陽の光に満ちた水である。―― Le vin est de l’eau emplie de soleil.」 これは、ワイン造りにおける太陽光の重要性を表したフランスのことわざです。 太陽の光がなければブドウ樹は成長せず、果実も実らず、そして熟すこともありません。光は光合成の必須要素であり、ポリフェノールの蓄積を促し、香り成分の形成にも深く関わっています。さらに、太陽がしっかりと降り注ぐ […]
今回私たちフィラディスがマリアージュ探究のテーマに据えたのは、日本の食の象徴ともいえる「本マグロ」です。 鮨店や割烹はもちろん、さまざまなジャンルのお店から食卓まで、その存在感を放つこの魚は、いまや和食文化を超え、世界の“旨味”を語る上で欠かせない食材となりました。 今回の実験では、大トロ・中トロ・赤身という3つの部位それぞれに、どんなワインが合うのか、またどのような相乗効果をもたら […]
地球上で生きている私たちにとって、切っても切れない地球温暖化の問題。 第一回目は導入編として、ブドウ栽培における気候変動の概要をご紹介しました。 二回目となる今回は、主要な短期的アプローチについて、ADVICLIM※の提言と、実際の生産者の導入例をご紹介していきたいと思います。 ※ADVICLIM・・フランス国立農学研究所(INRA)やドイツのガイゼンハイム大学をはじめとした国際的パートナーによる […]
以前のワインコラムプロにて、北海道の7つの海域でワインやウイスキーなどを熟成させている株式会社 北海道海洋熟成の本間一慶さんのインタビューをお届けしました。 今回はその続編として、3年間海中にて熟成させたワインの味わいの違いを検証しました。通常のセラー熟成と比較して、海中環境ではワインにどのような差異をもたらすのか。さらに、海域の違いで味わいにはどんな違いが生まれるのか。今回のテイスティング結果か […]
ワインテイスティングの際に使われる様々な表現語彙は、そのワインをより端的かつ具体的に表現し、ワイン描写の大きな手助けとなってくれます。それら語彙には、濃い/淡い(色合い)、強い/弱い(風味など)、高い/低い(酸味、アルコール度など)といった直接的な表現語彙の他に、多くの比喩語彙があります。最も代表的で馴染みがあるのが、多種多様な香り(nose)表現の比喩です。果実、食品、草木などの自然、身の回りの […]
香ばしく焼き上げた鮎の塩焼き。 その繊細な旨みと、ほんのりとした苦み、清流を思わせる清らかな香りは、日本の夏を代表する風物詩のひとつです。 鮎は「香魚」とも呼ばれ、若鮎の時期にはスイカやきゅうりのような爽やかな香気を放ち、旬の最盛期には内臓にかすかな苦みを含む独特の味わいを持ちます。 淡白ながらも骨や皮にも旨味が詰まっており、塩だけで丁寧に焼き上げれば素材の風味がダイレクトに立ち上る、日本人を魅了 […]
健康志向の高まりやライフスタイルの多様化を背景に、ワインの新たな選択肢として世界的に注目度が高まっている低アルコールワイン。最新トレンド、製造技術、そして日本における今後の展望など、その魅力と可能性を考察します。 1.低アルコールワインとは何か? なぜ今注目されているのか? 低アルコールワインとは、一般的にアルコール度数が0.5%以上11%未満のワインを指しますが、国や地域によって定義は異なりま […]
「麻婆豆腐とワイン」一見すると異色の組み合わせに思えるかもしれません。しかし、さまざまな食材や料理とのマリアージュ実験を重ねてきたフィラディスだからこそ、麻婆豆腐にもベストマッチする1本を見つけたい!そんな想いで今回のマリアージュ実験は幕を開けました。 麻婆豆腐は四川料理を代表する一皿であり、花椒による痺れる辛さ、唐辛子の鋭い刺激、豆板醤や豆鼓が生み出す奥深い旨味が絶妙に調和しています。とろりとし […]
2000年台前半にワイン業界に衝撃を与えたプレマチュア・オキシデーション(Premature Oxidation、熟成前酸化、以下プレモックス(Premox))。プレモックスが業界の話題になったきっかけは、1996年ヴィンテージのブルゴーニュ白ワインがたった5-6年後の2000年代前半に驚くほどの酸化劣化をしていた事でした。しかもそれは著名無名、特級村名を問わずブルゴーニュ全体から散見されました。 […]
地球上で生きている私たちにとって切っても切れない地球温暖化の問題。 まだ記憶に新しい2023年、この年は異常に暑く、世界各地で40℃越えを記録し、山火事などの自然災害も相次ぎました。世界気象機関(WMO)は、2023年の世界平均気温は1850〜1900年と比較して、約1.4℃上昇し観測史上最も高かったと発表しています。 同年7月、国連の事務局長による「地球温暖化(Global Warming)から […]